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『退廃』
衰(おとろ)え廃(すた)れること。
気風が崩れること。
道徳や気風が崩れて、不健全な状態になること。
江戸時代の日本の文化において、「退廃的」と評されるものは、西洋的・キリスト教的な価値基準による評価であって、同じものを日本の伝統的な価値基準によって再検証すると、「退廃的」という評価は適当ではないのである。
極端な話、西洋的・キリスト教的な道徳的な価値基準からすれば、性に関して寛容な日本の文化そのものが退廃的ということになるとも考えられるのである。
しかし、幕末の混乱期を除けば、日本の伝統的な価値基準によって見れば、多少の揺れはあるものの、日本人の道徳や気風が崩れて不健全な状態になったという見方はできない。
西洋の文化の多くが、古いものを否定して壊すことで新しいものを生み出すという過程を経ているのに対して、江戸時代の文化の多くは、古いものをベースとして、それを壊すことなく、より洗練されたものへと変化させるという違いがある。
それは、周囲を異文化・異民族に囲まれた欧米の国々と、周囲を海に囲まれ、鎖国政策をとっていた日本の環境的な差異による。
幕末から明治にそれが廃れるまで、江戸時代の文化は、常に武家の武士道と庶民の粋という美意識に支えられており、退廃的という評価はやはり適当ではない。
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